医療機関に求められていること

はじめに

クリニックを開設後、私たちは患者さんに医療を提供することになりますが、そこには必ず「評価」というものがついてきます。
「誰が評価するのか?」
それは上司でも他の医療機関でも厚労省でもなく、医療の提供先である「患者さん」です。

これから医療を提供していく以上、患者さんに不快な思いをさせてはいけません。
これは医療従事者として働く上での責務です。

今回のコラムでは、とあるアンケート調査の結果をご紹介します。
来院する方々が何を求めているのか、ぜひ参考にしてみてください。

アンケート調査の概要

今回取り上げる調査は、株式会社百五経済研究所様が平成21年3月に行った調査であり、「愛知・岐阜・三重の東海三県にお住いの20歳以上で、最近3年以内に通院・入院で医療機関を利用したことのある方」を対象としたアンケート調査です。以下にURLを示します。

https://www.hri105.co.jp/research_report/houkoku/pdf/houkoku-1037-20090730.pdf

回収数は200サンプルで、男性53%、女性47%の比率となっています。また、居住地域は愛知県が74%を占めているため、東海三県の中でも愛知県にお住いの方の意見が反映されやすくなっています。

アンケート調査の結果

あなたが医療機関を選んだ理由は何ですか

1位 自宅や勤務先から近いから 72.5%
2位 かかりつけの(行き慣れた)医療機関だから 29.5%
3位 医師の評判が良いから 25.5%

医療機関を選ぶ理由として圧倒的に回答が多かったのは「自宅や勤務先から近い」という理由であり、患者さんは基本的には「体調が悪い時」に医療機関に行くため、当然早く診てもらえる近場の医療機関を選ぶことになります。
2位や3位の理由に関しては患者さんから信頼を得ているからこそ成り立つものであり、選んでもらえるためには「医療機関が患者さんから信頼してもらえている」ことが最も重要なことなのではないでしょうか。

あなたが医療機関で満足した点は何ですか

1位 医師の信頼度 49.0%
2位 医師の態度、言葉づかい 45.0%
3位 治療内容の説明 31.5%

ここでも再び「信頼」という言葉が出てきましたが、やはり満足度を高めるにしても患者さん自身が安心して利用できる環境の存在が大きく関わってきます。1位から3位の点はすべて医療機関の信頼に関わるものであり、結局は「医師の行動」が患者さんに良い印象を与えるかどうかを決めてしまうのです。
体調が悪い時など医療機関にはマイナスの感情を持って訪れる方が多いため、患者さんには丁寧な言葉づかいで優しく説明してあげる必要があり、それが最終的には「医師の信頼度」につながってくるのではないでしょうか。

あなたが医療機関で不満だった点は何ですか

1位 待ち時間や診療時間の長さ 55.5%
2位 医師の態度、言葉づかい 16.5%
3位 その他 12.0%

「その他」の主な意見
・特にない
・一回で済むことを何度も通院させられたこと。
・治療費の高さ
など

医療機関で不満だった点については、「待ち時間や診療時間の長さ」といった回答が最も多い結果となりました。
これに関しては医療従事者の人数や建物の構造等が絡むために解決することは非常に難しいのですが、時間の短縮ができないのであればその時間が苦痛に思わないような工夫が必要です。
例えばお子さんがよく来院される診療科であれば、キッズスペースを設けることでお子さんは楽しめますし、何より親御さんの負担が軽減されます。これだけでも待ち時間の感じ方は大きく変わるのではないでしょうか。

また、「その他」の意見には通院回数の多さや治療費の高さなどが挙げられていますが、これに関しては医師の説明により解決できる可能性があります。
通院回数を例にあげると、歯科においては同じ治療であっても治療の回数によって保険診療か保険外診療かに分かれることがあります。このため、治療の回数を少なくしてしまうことが逆に患者さんの金銭的負担を大きくしてしまうなんてこともあります。この事実を知らない患者さんは多く、単に「儲けようとしているだけ」と思われている可能性が高いため、これに関して軽く説明を行うだけでも患者さんの不満は解消されるかもしれません。

あなたはこれからの医療機関にどのような役割や機能を求めますか

1位 医療従事者の能力や技術の向上 61.0%
2位 患者サービスの充実 42.0%
3位 外来時間の延長や休日診療の充実 33.5%

最後は患者さんの要望ですが、「医療サービスの質の向上」に関する意見が1位、2位にランクインしています。また、3位では診療時間の拡大が求められており、「医療サービスの量の増加」に関しても望まれています。
ただ、これらに関しては医療従事者側にも限界があるため、各々の制約の中で最高のパフォーマンスを出すことができているのであれば十分なのではないでしょうか。
また、上記で述べたように限界があるため、今後はサービスの質を向上させる上でも他の医療機関との「連携」は必要になってくるでしょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。
患者さんが非常に多くのことを望んでいるように見えるかもしれませんが、「医師が正しく説明する」だけでも不満は大きく解消されていきます。

「医療機関は患者さんのためにある」ということを忘れず、患者さんが求めていることを常に追っていくことが真に患者本位の経営といえるのではないでしょうか。

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