厚生局の個別指導(2)

個別指導を受けるにあたって必ず知っておくべき7つの注意点

個別指導を受けるにあたって必ずおさえておきましょう。

(1)間違いは率直に認めて改善すればまず監査に進まない。
個別指導について不備や間違いを指摘された場合、その指摘が正当な場合は、率直に間違いを認めて改善することです。個別指導で全く不備や間違いを指摘されないということはほとんどありません。

毎日、多くの患者さんの診療をして保険請求をしますが、中には診療録の記載が保険診療のルールに沿っていないことを指摘されることもあるでしょう。
厚生局が間違いや不備を指摘したとしても、直ちに自主返還を求めるわけではありません。

また、間違いや不備があっても、不正請求がない限り、いきなり監査にはなりません。
ただ、間違いがあるのに認める姿勢をとらないと、再度指導し確認する必要があるとして、「再指導」になってしまいますのでご注意ください。

(2)指定された提出物は必ず持参する。
個別指導においては事前に提出物が指定されます。指定された提出物は必ず持参することです。
提出物を忘れると個別指導を再度やりなおしになることがあります。電子カルテについては、プリントアウトしたものを持参することが原則です。

(3)指導日前の追記は絶対しない。
診療録の記載に足りない点がある場合に、個別指導の前に診療録に追記することはするべきではありません。特に指導前、さも診察日に記載したかのように診療録に追記することは、診療録の改ざんになりますので、絶対にしてはいけません。

(4)感情的な言い争いをしないこと。
間違いや不備を指摘されたからといって、「なぜそんなことを言われなきゃいけないのか」というような感情的な態度をとるべきではありません。
個別指導は、保険診療のルールを周知するためのものですから、その趣旨を踏まえて対応しましょう。

個別指導では、診療を熱心にしてきたかが問われるのではなく、保険診療のルールに沿って診療がなされ、保険請求がされているかが問われます。さらには、保険請求を裏付けるカルテが正しく記載されているかも問われます。

指導を受ける側が感情的な対応をすれば、指導する側も、問題点について改善される見込みが低いと受け取ることになり、「再指導」になりやすくなります。

(5)個別指導の拒否はしないこと。
個別指導の拒否は「監査」につながりますので、指導の拒否はすべきではありません。厚生労働省の「指導大綱(PDF)」においても「個別指導を拒否した場合は監査を行う」と明記されています。

(6)不正請求の意図がない場合はそのことは明確に伝える。
個別指導において、不正請求の意図があったかどうかを聞かれることがあります。
不正請求というのは保険請求ができないことを知っているにもかかわらず診療報酬の請求を行うことであり、単に不備があったこととは意味あいが違います。

仮に不備があったとしても、請求時不正請求の意図がなかった場合は、そのことを明確に伝えることが必要です。不正請求の意図があったと判断されると、監査になってしまいますので十分注意してください。

(7)不安な場合は弁護士に立ち会いを依頼する。
個別指導について不安がある場合は弁護士に相談し、立ち会いを依頼することを検討しましょう。
弁護士が立ち会うことによって、厚生局から根拠不明確な指導がされたり、威圧的な対応をされる危険がなくなります。

厚生局の指導内容に疑義がある場合は、弁護士がそれを正すことにより、根拠のない指導やそれに基づく自主返還の要求が行われるリスクを回避することができます。

 

次回は、個別指導をクリアするための診療録記載の注意点を説明いたします。

 

既存クリニックの院長先生、個別指導等でお悩みであればご相談ください。

 

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