1.はじめに
今回は、経営状況を数字で見る指標の中でも医療機関特有のものをご紹介します。
計算式などの詳細な説明は省略するため、概要の説明となります。
2.患者数を用いるもの
患者数とは、簡単に言ってしまうとお客様の人数であり、これに単価を乗じることで収益が求まります。
これを用いる指標としては、「一日平均入院(外来)患者数」や「病床利用率」、「平均在院日数」、「患者1人1日当たり収益」などがあります。
1日にどのくらいの患者さんが来てくれているのかな?
病床はちゃんと埋まっているのかな?
患者さんは適切なタイミングに退院してくれてるかな?
単価の小さい治療ばかりで経営が危うくなっていないかな?
などなど、経営を効率性の観点から評価できるのが患者数を用いた指標となります。
一般企業の分析指標とは異なるものを用いることで、医療機関の経営状態をより正確に評価することができます。
3.医師数、看護師数など従業員数を用いるもの
従業員数とは、医療機関で働いている従業員の人数であり、ここでいう従業員とは「医師、歯科医師、薬剤師、助産師、看護師、准看護師、看護補助者、管理栄養士、栄養士、診療放射線技師、理学療法士、作業療法士」を指します。
これを用いる指標としては、「常勤医師1人当たり年間給与費」や「従業員1人当たり年間医業収益」、「労働生産性」などがあります。
給与の額は適切かな?
従業員数に見合った収益を出せているかな?
1人当たりの成果はどのくらいかな?
などなど、規模を考慮して業績を評価できるのが従業員数を用いた指標となります。
また、規模ごとに適切となる数値も変わってくるため、ベンチマークはその医療機関に合ったものを選択すると良いでしょう。
4.病床数を用いるもの
病床数とは、患者さんが入院することのできるベッドの数であり、「病院」という名称を使えるかどうかはこの病床数によって決まります。
これを用いる指標としては、「病床利用率(上記2. 参照)」や「1床当たり医療収益」、「1床当たり固定資産額」などがあります。
病床はちゃんと埋まっているのかな?
病床数に見合った収益を出せているかな?
投資は適切に行えているかな?
などなど、効率性や安全性の観点から評価できるのが病床数を用いた指標となります。この病床数は指標の分母側に置くことが多く、収益性分析、安全性分析、機能性分析の3点において幅広く活用できる数字となっています。
5.まとめ
以上いくつか病院経営指標について挙げていきましたが、これら以外にも多くの指標が存在しています。
また、これらをベースとすることで、より詳細な分析が可能な指標を生み出すことも可能です。
患者数や病床数といった数字は表面上のものですが、これに少し手を加えるだけで重要な指標に変化します。Excel等を用いてぜひ作成してみてください。
このひと手間により、経営上の課題に気づけるかもしれませんよ?
➡より詳しく分析を行いたい方は、まずこちらのシリーズで財務諸表の構成について確認してみてください。
「財務諸表の概要①(損益計算書)」